私たちは音響と映像をプログラミングして制作している。
ノイズを律して音楽に、光をつないで映像に。
現実世界の断片を素材にしてプログラミングを構築することは、自分の知覚と思考を統合する作業でもある。
そうして組み上げたものが作品としてもう一度現実の空間に還元される。
今回の制作ではインスパイアされたものが二つある。
一つは、作品展示をするギャラリースペース。
明るくオープンな雰囲気で、大通りに面しているために車の音や光が行き交う。
ギャラリーに立ち寄った時、ランダムな周期で発生するノイズと反射光が関係したのか、あるイメージが立ち現れた。
それは海だった。
もう一つは、二十世紀ドイツの詩人、リルケの"An die Musik"(音楽に寄す)という詩である。
私たちはギャラリースペースに入ってくるその時々の音や光の波を集めて、ギャラリーの内部空間に海の景色をつくることにした 。
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