2/2は1である。一見矛盾する事実のように思えても、それは実は元々ひとつの存在かもしれない。
私の大伯父は海軍軍人で太平洋戦争で戦死した。
陸にあがる度兄弟たちにたくさんのお土産を抱えて帰ってきたという優しい大伯父と、戦地に赴き敵国の艦を沈めた海軍軍人として
の大伯父は同じ大伯父だろう か。
戦争の被害者としての大伯父と加害者としての大伯父、個人と国家、生者と死者、肉親と英霊・・・大伯父というひとりの青年を巡る
事実にも多くの矛盾が内包されている。
私は、叶うことなら大伯父に会いたかった。しかし大伯父がもうこの世に存在しない今、大伯父に会うためには混沌とした矛盾に
向き合うしかない。
本展では、そんな混沌と向き合う空間をインスタレーション作品として表現できればと思う。
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