(今回は恵文社とアートスペース虹の2会場での展示になります。)
創作ジュエリーのクマガイユキとデザインユニット2eの共演はズレながら共鳴してゆく輪唱のよう、その音(ね)に僕らは耳をすます。
決して猛々しくなく、息をするように仕事をしてきた彼女らの呼吸が再び聞こえてくる。
「手の中のハーモニー」を聞き逃したくないと思った。
(松下 計/グラフィックデザイナー)
写真/2006年10月初回展示風景 紗幕展示B面(クマガイユキ制作アクセサリーで描かれた枝のシルエット)
2e:デザインユニット
井上恵子と大谷有紀の2名からなるデザイン・ユニット。
シルクスクリーンやリトグラフなどの手法を使い、印刷のアナログ感と
紙の質感を生かした作品を得意とする。デザイン性の高いプロダクトライン
でも注目を集め、恵文社一乗寺店・NADiff・国立新美術館他の
ミュージアムショップ等で高い人気を誇る。
http://www.2e-prodotti.com/
2eの制作に対する姿勢は作風のチャーミングさとは裏腹に大変バイタリティーに満ちている。
版画からパッケージデザイン、ポスターやグッズ、本の装丁などひょうひょうとやってこなす彼女らは、日々の生活がそのまま造る事と完全に重なりあっているのであり、作品から息づかいを感じるのはそのせいであろう。
(松下 計/グラフィックデザイナー)
クマガイユキ (kumagai yuki):造形作家/アクセサリー作家
1987年、京都芸術大学彫刻科卒業。在学中の1984年、西武コラージュ展グランプリ受賞。1993年、朝日現代クラフト展に初入選。95年頃からアクセサリー製作を開始し、99年には「国際クラフト展伊丹」(兵庫県伊丹工芸センター主催)に入選。その後、全国の公立・私立ギャラリーで多数の個展を開催。
宝飾としての経済価値。あるいはモードとしての時代性のいずれかの基準でのみ判断されるのが通例である装身具のジャンルにおいて、「身に付けられる小さな現代彫刻」としての独自の創作スタンスで異彩を放つ。
ファッション・パーツや雑貨としてではなく、しかしながら宝飾品としてでもなく、ジュエリーを創作するクリエイターは意外に数が少ない。現代彫刻としてのキャリアをスタートとしたクマガイユキの作品は、衣服や身体に寄り添うスケールに変化してもなお、オブジェと呼ぶのが一番しっくりくる「掌の中の小さな世界」である。
(生駒尚美/アーツ・アドミニストレーター)
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