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2017年7月の展覧会スケジュール
6月8月

6月20日〜7月2日(月曜休廊)

松本 尚 個展
間違いの庭:The Garden of Errors

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今回は、新作平面作品数点、その制作過程ドローイングを展示する。
近年平面作品では、装飾性と空間性という矛盾を一つの画面に統合する試みを続けている。
世界を色、テクスチャー、線という別の位相に置き換え、ギャラリー空間にて一つの庭に見立
てます。

作家略歴

1975年兵庫県生まれ、京都市立芸術大学美術研究科ビジュアルデザイン科修士課程修了。
主な展覧会に、2010年「MOT アニュアル 2010:装飾」(東京都現代美術館、東京)、「HANA 現実と虚構が溶け合った視覚の冒険」(小山市立車屋美術館、栃木)、2015年「Wonder Beast この惑星のこども」(SCAI THE BATHHOUSE、東京)(うつのみや妖精ミュージアム、栃木)ほか多数。2016年「APartMENT」プロジェクト、JR東日本「現美新幹線」等、空間と装飾性を意識した作品を展開。
http://naomatumoto.turukusa.com/

(前期)2017年7月4日(火)〜7月16日(日)(月曜休廊)
(後期)7月18日(火)〜7月30日(日)(月曜休廊)

【國府 理 「水中エンジン」 redux】
「水中エンジン」は、國府が愛用していた軽トラックのエンジンを水中に沈め、稼働させるという作品です。エンジン音とともに熱および排気が発生し、水槽内の対流が可視化されると同時に展示空間の外まで敷設されたマフラーから排気ガスが排出されます。

この作品の成立は2012年であり、言うまでもなくそれは現在まで続く「震災後」という時間が始まった時でもあります。國府自身も「水中エンジン」が福島第一原子力発電所の事故から影響を受けて構想されたことを明かしています。結果として、この作品は非常に「脆い」ものとなりました。壊れやすい。メンテナンスが必要である。完成していないのではないかとすら思える。

通常、再制作とは作家の意図を踏まえ、作品を忠実に再現するものです。しかし本企画は、それに多くの困難・不可能性を抱えている。部品もほとんど残っていませんし、國府自身が展示会場にてメンテナンスを施し続けていた、という状況を再現することも不可能です。したがってこの再制作は失敗に終わらざるを得ない。しかし、逆に問いますが、アートにおける成功とは何なのでしょうか。この作品が明らかにしてしまう不完全さこそが、この社会の有り様をそのまま示しているのではないでしょうか。私たちはそもそも原子燃料サイクルが完成しないことを既に知っています。この社会システムが決して完結したものではなく、極めて脆いことも。「水中エンジン」は震災および原発事故への反応や対応ではなく、それを象徴化せしめた作品というわけでもなく、その「構造的欠陥」が芸術の破れであると同時に、この社会の破れでもあるという事実を反映してしまったという点において、震災後の芸術作品の中でも白眉であると言えます。

この再制作プロジェクトはそのような「構造的欠陥」、「incompletion」な状態を積極的に引き受けるものです。しかし逆説的に、それはオルタナティヴな共有システムと記録システムの可能性へと繋がっています。美術館において共有が「展覧会」に、記録が「収蔵」に集約されるとしたならば、「水中エンジン」の「反復」はどこか別の方向へと進んでいく。共有されざるものの共有と、記録されざるものの記録の方へ。個人/故人の神話化や完成作品の永続化から離れ、ただありふれた、思い立ったかのように繰り返される追悼のようなものに。
文:遠藤水城(日本シリーズ第3戦)
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國府理 「水中エンジン」 redux 概要

会場:アートスペース虹(京都市東山区東町247-2)
会期:(前期)2017年7月4日(火)〜7月16日(日)
   (後期)7月18日(火)〜7月30日(日)
    * 前期・後期で展示内容が大幅に異なります
企画:遠藤水城
主催:國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト実行委員会
遠藤 水城(インディペンデント・キュレーター)/ 白石 晃一(アーティスト)/ 高嶋 慈(批評家)/ はが みちこ(アート・メディエーター)/ ヤノベ ケンジ(アーティスト)
協力:アートコートギャラリー、アートスペース虹、京都市立芸術大学芸術資源研究センター、京都造形芸術大学 ULTRA FACTORY、東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
助成:公益財団法人 関西・大阪21世紀協会 アーツサポート関西、
   公益財団法人 テルモ生命科学芸術財団

https://engineinthewater.tumblr.com

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関連イベント

・ゲストトーク
7/8  19~20時半 会場:良恩寺(京都市東山区粟田口鍛冶町7)
話し手:椹木野衣(美術批評家) 聞き手:遠藤水城 
定員:30名(予約不要、先着順) 入場料:無料

・トーク「《水中エンジン》再制作の技術について」
7/15 19~20時半 会場:東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)(京都市東山区山崎町339)
話し手:白石晃一、松本晃(エンジニア) 聞き手:高嶋慈、はがみちこ 
定員:20名(予約不要、先着順)  入場料:無料
・ゲストトーク
7/22 19~20時半 会場:京都芸術センター(京都市中京区山伏山町546-2)
話し手:浅田彰(批評家) 聞き手:遠藤水城 
定員:40名(予約不要、先着順) 入場料:1,000円

・クロージングパーティー
7/29 18時〜20時  会場:green & garden(京都市中京区三条猪熊町645-1)
定員:40名(予約不要、先着順) 入場料:1,000円
1 - トーク「遠藤水城、プロジェクトの全貌を語る」話し手:遠藤水城
2 - 上映会「國府理作品の記録映像を見る」
3 - ライブ「《水中エンジン》記録音楽をつくる」出演:中川裕貴(音楽家) 他
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art-niji@onyx.ocn.ne.jp